合気道の秘伝を学ぶ (井口合気流護身術 初段のブログ)

合気道を活用した護身術の技術と考え方の紹介

陰の技術

骨の技術(物理学)の基礎である、陽の技術と陰の技術は、運動エネルギーの方向によって次のように定義されます。

 陽:重心が動いた方向と、相手に与える運動エネルギーの方向が同じ
 陰:重心が動いた方向と、相手に与える運動エネルギーの方向が逆
 
入り身の際、体全体で相手の懐に入りつつ、触れた相手の腕を遠くへ伸ばすようにして相手を崩したり、小手返しで、ひねる方向と逆方向に自分が移動したりする動きも、陰の技術となります。
 
ちなみにクラブマガというイスラエル軍の近接格闘技で、銃を突き付けられた時の対処法という動画を見ましたが、使われていた技術には、陰の三式が含まれていました。自分の重心を落下させ、反作用である上方向へのエネルギーを腕から伝える動きです。

f:id:dice-k-13110:20170521213713p:plain

 

なお、陽の技術、陰の技術を意識し、「重心移動のエネルギーを伝える」という意識で動くと、無駄な力みが消えるとともに、相手に動きが悟られづらくなります。

合気道の極意は、「情報の遮断」であると橋本先生はよくおっしゃっています。筋力でどうにかしようとすると、肩や脚に力が入りますが、人間の目は我々が思っている以上に感度がよい為、わずかな力みでも感知できるので、相手は反射神経で対応、反応できるのです。

 

一方、”重心を移動させたエネルギーを伝える”という意識で動くと、力みが消え、相手が感知する前に、接触点から突如運動エネルギーが伝わるため、反射神経で対応できなくなります。いつの間にか体制を崩されてしまい、何が起こったかわからなかった、と感じるというわけです。

この他にも多くの情報を遮断する技術がありますが、ここでは「運動エネルギーを伝えるという意識」のみに留めさせていただきます。

 

最後に、陰の一式の当身を記します。

重心を後ろに引き、そのエネルギーの反作用を前方に押し出す動きです。

f:id:dice-k-13110:20170521213650p:plain

さて、「運動エネルギーは接触点からのみ伝わる」と、過去紹介しました。そうであれば、当然地面からも反対方向のエネルギーが伝わるはずですが(反作用)、作り出したエネルギーを相手に伝えるという意識が重要なのであえて記載していません。(さらに言うとベクトルと書いた方が適切なのかも知れませんが、エネルギーを伝える、流す感覚が重要なので、エネルギーと書いております。)

 


余談2
先週の稽古にて、先生から

合気道とは自分勝手な武道である。自分が世界の中心にならないといかん。」
「相手に与え、相手が動きやすいように動いてあげる。けれど世界の中心は自分。」
「与えると同時に与えられている。」

といったことを習いました。昔も似たようなことを聞いたときは全く理解できませんでしたが、今回は、「なるほど確かにその感覚だ。」と思うことができました。自分の感覚や、動きが磨かれていく感覚はとても楽しいものですね。